「バンドリングについて正しく理解したい」
「売上アップにつながる方法を知りたい」
「顧客流出の対策方法を知りたい」
この記事では上記のような方に向けて、
● バンドリング戦略の意味
● バンドリング戦略のメリット
● バンドリング戦略のデメリット
● バンドリング戦略の活用例
などについて、分かりやすく解説していきます。
バンドリング戦略の意味とは?
はじめに、「バンドリング」と、その反対の意味として用いられる「アンバンドリング」について解説していきます。
バンドリングとは?
バンドリングとは、2つ以上の商品を「セット売り」することを指します。バンドリングはさまざまな業種で日常的に活用されているマーケティングの手法です。一例としては、ソフトウェアをインストールした状態で販売されているパソコンや、食事とドリンクがセットになったランチメニューなどが挙げられます。
アンバンドリングとは?
アンバンドリングとは、セット売りを行うバンドリングの反対で、消費者のニーズに合わせて商品を個別(バラバラ)に販売していくマーケティング戦略を指します。パソコンを例に挙げると、「BTOパソコン」と呼ばれるカスタマイズ販売がアンバンドリングになります。
バンドリング戦略のメリット
ここからは、バンドリング戦略のメリットについてご紹介していきます。
割安感を顧客に与えられる(価格バンドリング)
2つ以上の商品をセット販売する「バンドリング戦略」は、顧客に割安感を与える効果が期待できます。別々に買えば2,000円の商品を、「バンドリング戦略」によって1,700円でセット販売したとすると、顧客は「300円お得になった」と感じ、購買意欲を刺激されるのです。
こうしたお得感を出すバンドリング戦略を、「価格バンドリング」と呼びます。
売上アップにつなげられる
上記でご紹介した「価格バンドリング」によって割安感を出すことで、企業や店舗の売上アップにつなげることも可能です。単純にセット販売の価格を、個別で販売したときの合計より安くしても良いですが、バンドリング戦略を上手く活用することで、価格を下げなくても売上アップに繋がるケースもあります。
たとえば、「Aの商品には500円まで、Bの商品には700円まで出そう」と思っている顧客がいるとします。この場合、バンドリング戦略でA+Bのセットを1,200円で販売すれば、AとBの両方を購入してもらえるでしょう。
しかし、もしAの商品を400円、Bの商品を800円の価格で個別に販売したら、この顧客はAの商品しか買いません。2つの商品の合計価格は同じでも、バンドリング戦略を活用することでお店の売上が400円から1,200円にアップする場合もあるのです。
上記はあくまでも単純化した例ですが、価格を下げなくても、バンドリング戦略によって売上をアップできる場合もあることをお分かりいただけたと思います。
売れにくい商品を販売しやすくなる
「価格バンドリング」を活用することで、なかなか売れない商品やサービスを販売しやすくすることもできます。たとえば、売れ残っている商品の価格を割り引き、売れ筋の商品とセットで販売するといった方法が考えられます。個別に販売するより利益率は下がりますが、「売れ残るよりは安くても売ってしまいたい」というときには有効な手法です。
ただし、売れにくい商品を不当にバンドリングして販売することは、独占禁止法によって違法となるため注意が必要です。「不当なバンドリング」とは、たとえば「人気商品と不人気商品をセット販売し、それぞれ単品では購入できないようにする」場合などが当てはまります。
顧客の囲い込み戦略にも活用できる
バンドリング戦略は、上記でお伝えしたような「価格バンドリング」による売上アップ以外にも、顧客の囲い込み戦略として活かせるケースもあります。
バンドリング戦略による囲い込みで代表的な例が、プリンターとインクの販売方法です。プリンターを使用するには、本体を購入したうえで消耗品であるインクを継続的に購入する必要があります。これにより、プリンターを販売する会社は、顧客の流出を防ぎつつ、継続的な利益をあげることができます。
バンドリング戦略のデメリット
ここからは、バンドリング戦略のデメリットについても見ていきましょう。
消費者から敬遠される場合もある
バンドリング戦略は、販売の仕方によっては消費者から敬遠される場合があります。一部の消費者は「セット販売=不要なものや売れ残りを買わされる」といったネガティブな印象を持っていることがあるためです。
セット販売にネガティブな印象をもっている消費者に対しては、セットで買うことによる価値を見出してもらえるような売り方の工夫が求められます。
本来の価格より安く販売するので利益率は下がる傾向にある
セット販売で割安感を出す「価格バンドリング」は、単品で販売した場合に比べると、値下げ分だけ利益率は下がってしまいます。利益率を下げないためには、あらかじめセット販売を前提とした価格設定にするなどの工夫が必要です。
商品によってはアンバンドリングのほうが向いていることも
バンドリング戦略は、すべての商品・サービスに向いているわけではありません。BTOパソコンのように受注生産を行う商品など、消費者が特にこだわって購入するような商品・サービスにおいては、バンドリングよりもアンバンドリングのほうが向いているケースもあります。
自社の商品・サービスにはどちらの販売戦略が向いているか、しっかりと考える必要があるでしょう。
バンドリング戦略を活用した例
ここからは、バンドリング戦略を活用した様々な例をご紹介していきます。
パソコン販売のバンドリング戦略
記事中にも何度かご紹介したパソコン販売のバンドリング事例には、以下のようなものがあります。
〇 パソコン本体に、表計算ソフトや文書作成ソフトをあらかじめインストールした状態で販売する
〇 パソコン本体+周辺機器(モニターやプリンター等)をセットで販売する
上記のソフトウェアや、プリンターといった周辺機器は、多くの消費者にとってパソコン本体とあわせて必要になる場合が多い商品です。これらのセット購入は消費者にとっては割安感があり、お得だと感じてもらうことができます。
携帯電話のバンドリング戦略
携帯電話(スマートフォン)の月額契約も、広い意味でのバンドリングと言えます。多くの場合、携帯電話(スマートフォン)本体の価格を安価で販売することで顧客を集め、その後は月々のインターネット回線費用や通話費用を支払ってもらうことで継続的に収益を上げることができるという仕組みです。
飲食店のバンドリング戦略
飲食店でのバンドリングは、主にセットメニューなどの「価格バンドリング」が主流です。身近な例では、パスタとドリンク、デザートがセットになって、それぞれ単品で注文するよりもお得な「ランチセット」などがあります。飲食店では、日常的に「価格バンドリング」が行われています。
電気契約のバンドリング戦略
最近では電気契約の分野においても、バンドリング戦略が活用されています。電力自由化後は様々な分野の企業が電力事業に参入し、自社の商品やサービスとセットで電気を販売をすることで、顧客の囲い込みを行っています。
たとえば、不動産会社では自社で展開する「不動産物件」と「電気契約」をバンドリングすることで、入居者への電力切り替えを提案することが可能になります。また、企業向けのSI(システムインテグレーション)サービス企業では、自社の「LED」や「サーバーメンテナンス」などのサービスと、「電気契約」をセットで顧客に提案することなども可能です。
電力事業への参入といっても容易ではありませんが、バランシンググループを活用すれば電力事業の立ち上げから電力事業にかかる業務まで、一括してサポートしてもらうことが可能です。
「エコスタイルでんき」でもバランシンググループサービスを提供していますので、詳しくは以下のページをご覧ください。
バンドリング戦略まとめ
この記事では、バンドリング戦略の概要から、メリット・デメリット、実際にバンドリングを活用した各業界の例などについてご紹介してきました。「セット販売」を意味するバンドリング戦略は、上手に活用することで売上アップにつながり、継続的な顧客の獲得や流出の防止(囲い込み)に役立ちます。
ただし、商品・サービスや顧客のニーズによっては、商品や機能をバラバラに販売する「アンバンドリング」の方が効果を上げられる場合もあります。自社の商品がどんな性質をもっているのか、顧客や市場の分析を含めて、しっかりと販売戦略を練ることが重要です。